Monitor03

見て、聴いて、ひと目惚れ

東芝REGZA42型の両サイドにセットしたわが家のXeo3。キャビネットの底面には付属のフェルトが貼ってあり、ラックの上でガタついたりしません。ラックの棚板もフラッシュではなく、MDFのソリッド材です。ヤワなラックに載せるなら、専用のスピーカースタンド(STAND3)との併用をお薦めします。

今年(12年)6月に開催された発表会で、Xeoの現物を見て、聴いて、ひと目惚れ。

その場で予約注文しちゃいました。それから10月末の発売日までの長かったこと! 無線LANや家電製品などでも用いられる2.4GHz帯をワイヤレス通信に用いるため、日本の法規をクリアするのに時間がかかったのでしょうが、それにしても待ち遠しかった。

10月28日の日曜日、待ちに待ったXeo3が届いて、さっそくセッティング。いまはまさに蜜月状態。ルンルンで楽しんでます。

テレビと組み合わせるのに最高

なんでもないテレビ番組を見ていても現実音のリアルさにハッとすることもしばしばです。調理中の音の美味しそうなこと!

掌に載るサイズのXeoトランスミッターとXeo3またはXeo5パワード(アンプ内蔵)スピーカーで構成されるこのシステムを見たとき、直感的に「テレビと組み合わせるのに最高!」と思いました。わが家では42型REGZAが活躍しているのですが、この音がショボイ! 薄型ボディに無理矢理押し込まれた小型ユニットですから、いい音を望む方が無理なのはわかってはいるんですが、それにしても、です。とは言っても、世に数多あるサウンドバーにはイマイチ食指が動かないし、5.1chサラウンドシステムを組むほどのスペースはない……。

そんなわが家に(というか私に、なんですが)ピッタリ、と思えたのがXeo3です。サウンドに関しては、あの「ディナウディオ・クォリティ」を備えているのですから不満などありようがない。テレビの横にさり気なく置けるコンパクトさもいい。配線やセッティングの簡単なことも驚くほどです。わが家のテレビにはTOS-LINKの光デジタル出力がついていますから、ここからXeoトランスミッターに付属の光ケーブルでつなぐだけ(これで、スピーカーに内蔵されたパワーアンプに届くまで、音楽信号はすべてデジタルで伝送されますから音質劣化もない)。あとはそれぞれの機器の電源を取るだけです。トランスミッターとスピーカー間、あるいは左右のスピーカー間を配線する必要はありません。わが家ではテレビのまわりにすべての機器が配置されていますから配線の面倒はないのですが、オーディオ用にXeoを使おうとしたとき、スピーカーケーブルが必要ないというのは、ホントに助かると思います。配線がいらないからスピーカー配置の自由度が高いし、スピーカーケーブルって、音のいいものは相当高価ですから、オサイフにも優しい。

音質劣化を疑ってみました

いちおう私はオーディオの専門家といわれる人間ですから、電波で音楽信号を送って、ほんとに音質劣化がないのか疑ってもみました。さいわいなことに、オーディオ専門誌でXeoの試聴テストの依頼を受けたので、厳しくチェックしてみましたが、もちろん合格です。Xeo3もXeo5も素晴らしいサウンドを奏でてくれました。しかも、パワーアンプを内蔵していてこの価格というのが信じられない!

日々、新たな発見が

Xeo3の置き方でも音が変わります。最初はテレビ画面と「ツライチ」に置いたのですが(上)、画面からの反射の影響が気になりました。そこでラックの上で目いっぱい前に出してみたところ(中)、音がちょっとスッキリしました。でもここまで出すと見た目が悪いので、いまはちょっとだけ出した状態で聴いています(下)。

わが家でXeo3を使い出してからそろそろ1ヶ月が経過しますが、日々、新たな発見があり楽しんでいます。いままでのテレビ内蔵スピーカーでは聴こえなかった音が一杯あることに驚きます。たとえば、ドラマのSE音。場面を盛り上げるためにけっこう凝った音造りがされていたんですね。テレビの音といえども、低音をしっかり再生してあげることがいかに重要か、いまさらながら再認識しています。Xeoの聴かせてくれる低音はホンモノです。スポーツ中継の迫力も凄い。F1のエクゾーストノートには驚きました。とくに鈴鹿サーキットでの日本グランプリは小林可夢偉の大活躍(3位表彰台)もあって鳥肌モノでした。

音楽ソースの楽しみが倍増したことは言うまでもありません。いままではブルーレイやDVDの高音質も宝の持ち腐れ状態だったのですが、Xeoで聴くと世界が変わります。

たとえばクラシックのライブ収録。特にオーケストラが楽しい。「ここではこの楽器が鳴っていたんだ!」と、スコアが読めない者にとっては映像で確認できるって素晴らしいことです。最近手に入れたポール・サイモンの「LIVE IN NEW YORK CITY」など、70歳になってなお、音楽とひたむきに向き合う彼の姿に感動しました。音楽の心を伝えてくれるXeoだからこそ味わえた僥倖でしょう。

●プロフィール

黛 健司:オーディオ評論家
60年代末、オーディオ全盛時代の秋葉原に日参していた少年が、いつの間にか『ステレオサウンド』編集部にもぐり込み、やがてマネージャーとして編集部を切り盛りするに至る。その後、”カーオーディオ元年” といわれた89年に創刊された『オートサウンド』誌の編集長として活躍。現在はフリーランスとして評論活動をつづけている。
オーディオ以外の趣味はクルマ、というかアルファ・ロメオ。日本最大規模のアルファ・ロメオのイベント主宰者でもある。